店主のアイラ島日記

1日目 

ジェットで12時間、北海のツンドラの上空を飛びロンドンヒースロー。乗り換えてスコットランドのグラスゴーへ約1時間半の空路。これで1日が終わった。
2日目

薄暗い小雨の中を現地時間8:30大型バスで出発。約3時間かけてKennancraigに移動し、12:30発のフェリーにバスごと乗り込む。いよいよだ。ジュラ島を右手に見ながら2時間かけて、スコッチウィスキーのキーモルトになくてはならないアイラモルトの島、アイラ島へ。
まず、日産23,500Lのバッテング用が大半のモルトを製造しているカリラ蒸留所。
 カリラ
スピリットはスコットランドのスターリングへジョニーフォカーやベルのキーモルトとしてローリーで運ばれる。シングルモルト用として少量ミドルカット(62°〜73°)ポットスチルは6基、海からガラス越しに見える。ピート香はアイラでは軽目。
カリラを後にブナハーブンへ。工事中で見学は出来ないとのことだが外見だけでも…と、田舎道でバスがギリギリの道を1時間かけて到着。
ブナハーブン
たまたま貯蔵庫の扉が開いていて、幸運にも中を覗くことが出来た。中には400L〜450Lの樽が数え切れない位あった。エレベータが見えたので2階もあると思われた。
2件の蒸留所を見学して、島で唯一の小さな空港の近くのホテルへ(日本の民宿みたい)宿泊。ゴルフのクラブハウスも兼ねているようだった。
夜、外は満点の星。左地平線より右地平線までぐるりと満天の星が輝いていた。私にとっては初めての事で、しばらく空を見上げて見とれていた。

  アイラホテル
3日目


アードベック ポットスチル


 ポートエレン


ラフロイグ


アードベック見学。
ピート香がアイラでも最高値。モルティングは全量ポートエレンで、味わいはピート香が有る割に喉ごしは軽快…。その秘密はポットスチルにあった。スワンネックの上部曲がった所に重いアルコールが元の釜にもどる仕組み。蒸留釜は建物の大きさに比べ、たったの2基だった。

所長のスチュワート=トンプソン氏の計らいで、貯蔵庫内の樽から24Y物のカスクストレングスを飲まして頂き、その美味さにうなることしきり。特に1999Y物のカスクストレングスには感動!帰国後も夢に見る程おいしかった。香が高く丸みがあり、そしてカスクストレングスと思えぬ程くさわやかだった。
アードベックで昼食をごちそうになり、(アイラ島蒸留所で唯一レストランを持っている)ラフロイグの向かう。
担当者が忙しく少々待たされたので、その間工場の周りを見て歩く。自家製麦(フロアモルティング)をしているため、ピート倉キルンが2塔見える。実は私の大好きな酒…。実はチャールズ皇太子もご愛飲との事…!!ピートは自社畑より切り出されるもので、このピートはヘザーだけでなく多くの苔が含まれ個性を造っている。蒸留基は7基並びアイラでは一番多い。ピート香値はアートベックに次いで高い。
同行者の笑い話:(バーで客のラフライグをくれと言われたが品物が無かった。そこで裏の方で他のウィスキーにセイロガンを一粒…)
ラフロイグでチャールズ皇太子が座った応接イスに座って、次のブリックラディーに向かう。
しばらく休業していたが先年2000Yに民間人の出資により再開し、工場長の意見で昔ながらの造りを実現。モルト粉砕器も1881年製と最古参。マッシュタンクも珍しい解放タンクだった。
新しい酒は46°フレーバーが飛ばさないためにノンフィルター。
工場長の言う前向きの姿は「アイラの酒のボトリングをやりたい!」「来年にはウィスキー学校を立ち上げたい」との言葉に窺い知ることができる。
また,驚いたのは日本人で29歳の大木君(岡山県出身)が働いていたことだ。彼は日本酒を勉強していたが、他の酒も…と無報酬で門をたたいたとの事。若い者がうらやましい。
ボーモアの町を通ってホテルへ。
4日目

すでに4日目。今日は人気のボーモアへ。
入り口で名物おばちぁんに抱擁で歓迎される。
日本のサントリー経営で人気蒸留所だけあって、伝統を守った造りだ。
ピート値は中位(アイラでは)、フラアモルティングもしており(全体の20%位)ポットスチルは4基。南海岸の激しいモルトと北海岸の穏やかなモルトのちょうど中間にあり、味も謎と言われるほど中位の味覚である。
アイラでも一番の町で人口は島全体で3,500人、そのうちボーモアに1,000人だ。面白かったのは観光バスに手を振ってくれ、小さい子が後を追いかけてくる。なんで…?観光バスが珍しいんだそうだ。そういえば4日簡一度も観光バスを見なかった。
ボーモアでは製造による高熱を利用して、島民に温水プールを提供している。いままで大半の島民は泳げなかったらしい。
この蒸留所には名物人が3人いる。(良く雑誌に出ている)
 1.出迎えのおばちゃん
 2.フロアモルティングのおじさん
 3.ピート堀のおじさん
三人共60歳前後〜70歳くらい。ボーモアのおばちぁんの案内で自社畑のピート堀をやらしてもらう。

中央やや右よりの女性が出迎えのおばちゃん

次のポートエレンに向かう。
現在ウィスキー造りは1983年にやめて、アイラの蒸留所とジュラ島の麦芽製造を行っている。
真面目そうな工場長が出迎えてくれる。まずは事務所で勉強会。(モルティングのシステム)各蒸留所により、ピート値の注文が全部違うそうだ。(注文どおり正確に仕上げ、評価は高い。)量と質を求められ1972より製造。ドラムによる製造は7基あり、1基に150tの麦が入る。フロアモルティングだと10日〜12日だがポートエレンでは8日〜8日半位で出来上がる。
ところでウィスキーはと言うと、1983年閉鎖されストックだけの幻のモルトとなってしまった。

いよいよ最後のラガブーリンを訪れる。
密造酒時代よりの歴史のある蒸留所。そのジョストン家の一人がラガブーリンで彼が一人でラフロイグを立ち上げた由。ここのピートフィノール値も高く30〜40PPM、ポットスチルのスワンネックが45°曲がって、他にはあまり見られないつぶれたタマネギ型。蒸留所の中にフクロウの置き物が有る。なんだろう?と聞いたところ、つばめの番をしているそうだ。
ウィスキーはやはり16Y物が主流。ピーティでまろらかさが売り物。
蒸留所前の船着き場に行ってみる。小魚がいっぱい泳いでいるのが見える。

ラガブーリンを最後にアイラのすべてを見学させてもらった。
夜、ホテルにゲストとしてボーモア、アードベック、ポートエレン、ブリックラディーの各所長が訪れてくれた。
皆で写真を撮ったり楽しい一時を過ごし、またの再開を約束してバイバイした。


左からアードベック社長

ポートエレン社長
ブリックラディー社長
5日目

09:55発のフェリーでアイラを後にした。(ポートエレン港)
持参したウィスキーを飲みながら、船からポートエレン、ラフロイグ、ラガヴーリン、アードベックの工場を双眼鏡で見ながら2時間あまりの船旅。

ラガヴーリン

又、グラスゴーに戻り、飛行機でアイルランドのダブリンへ1時間の移動。

優しかったバスの運転手のロバートと、新潟出身の通訳田村さん(すごいプロフェショナル!私は久々にプロの仕事をみた感じがした)、グラスゴーではこの二人と名残を惜しみながら別れた。

←ブリックラディーと通訳の田村さん

夕方、アイルランドの首都ダブリンに着く。
17:30頃かな、ここでビックリ、私のトランクだけ出てこないではないか。最後の荷が出てきて取りにこない人の荷物だけがグルグル回っているというのに、私のトランクだけがいつになっても出てこない。イライラしていると(内心真っ青)、違うレーンにありましたと係員が転がしてきてくれた。ホットしている間に両替する時間がなくなり、ユーロを一銭ももたずホテルに直行するはめに…。観光旅行と違って食事を自前で食べる事が多く、不安ながら夜の町へ出る。中華料理屋に入り、食べたあとカードが使えるようでほっと安堵した。カードの便利さを今までで一番感じた。
イギリスは変な国で、イングランドではポンド、スコットランドは独自のポンド(3
つの銀行が各自出している)、アイルランドではユーロと両替に忙しい。10月18日、ホテルのフロントでユーロに両替。やったー!不安がなくなった。

9:00ギネスビールの見学に向かう。
一方通行ばかりのダブリンの町をバスで行ったり来たりしながら、ギネスへ一番乗り。
現在はショールームがあり、そこで製造の説明を受ける。
その後、最上階の展望台でエクストラコールドと言うギネスを飲む。「うまかったー」 バーテンのお兄さんがグラスについでくれる最後の泡の上部にギネスのマークを作ってくれる。思わず手をたたいて褒め称えた。

二階のショールームはギネスマークの売場、すごい広さ、品数も豊富、並の土産品屋は真っ青である。見れば皆、かごに2つ、3つ買っている。私はビンボーなのでかご1つだけ。
その後何組かに分かれ、私はアイリッシュウィスキーのジェムソンに行く。ジェムソンに行ったが、今はショールームだけで工場は他に移していた。試飲などしたがこれまでアイラの激しい酒を飲んでいたからなのだろう、何か軽すぎていまいちピンとこなかった。

最後に夜、同行の皆と食事、その後一人で夜の町をブラブラ歩いてホテルに帰った。

6日目

朝6:30起床、今日は川崎に帰る日、身の回りを整理して、町をチョットぶらついた。
朝のアイルランドは寒かった。…凍えた。4℃ぐらいだったかな。
ダブリン12:10発、乗り継ぎのヒースローで14:00頃、チョット故障が見つかり遅れながら出発。12時間かかって成田着(この時20日の昼過ぎ)

疲れたー。だけど本当にいい勉強をさせてもらいました。何かウィスキーを造れと言われたら、造れそうな気がするくらい!!